ASTRO-Hが拓く新しい宇宙像

ASTRO-Hの挑戦

ASTRO-Hが拓く新しい宇宙像 宇宙の謎にもう少しで手が届く!かもしれない。

宇宙の90%はX線でしか見えない!?

今、天文学はとてもエキサイティングな時代を迎えています。これまで個別に捉えられてきた様々な現象がそれぞれ互いに密接に関係し合って、我々が今見る宇宙を形作ってきたことが明らかになってきました。また一方で、私たちが今見ている宇宙はごく一部に過ぎず、この宇宙の大半は私たちが見ることのできない物質からなっているということも分かってきています。今、私たちは宇宙の謎に手が届くところまで後一歩というところまで迫っているのです。

20世紀半ば、電波や赤外線、X線といった人間の目で捉えることのできない波長の光で宇宙を見ることができるようになったことで天文学は急激に発展しました。観測し尽くされたと思われていた場所で新しい現象が次々と見つかり、それまで何もないと思われていた場所でも様々な現象が起きていることも分かってきました。宇宙はそれまで考えられてきたよりずっと多様で、ずっとダイナミックな世界だったのです。

「NeXT(ASTRO-H)があれば、日本は、宇宙論、ブラックホール、質量降着、ジェット、そして宇宙における他の神秘的な物理を理解するのに必要不可欠な手段であるX線天文学の分野で真に世界をリードする立場に立ち、天文学全体の牽引者としての地位を不動のものとするでしょう」C. Megan Urry : Yale大学物理学部長

X線天文学もこうした新しい分野の一つ。X線は主に数百万度から数億度という非常に温度の高い領域から出ている波長の光です。温度が高いということは、つまり激しく活発な活動をしている場所ということ。こうした領域 ― 超新星爆発、ブラックホール、活動銀河核、銀河間の高温のプラズマといった現象が星の生成や、銀河団や宇宙の大規模構造といった宇宙の構造や進化に大きな影響を与えていることが分かってきました。実は、こうした領域は決して珍しいものではなく、逆に私たちが見ることのできる物質の90%以上がX線でなければ観測できないともいわれています。

ASTRO-H ― まだ誰も見たことのない宇宙へ

ASTRO-Hは2013年度に日本が打ち上げをめざしている次世代X線天文衛星です。重量2.5t、全長14mと日本が打ち上げてきた天文衛星の中でも最大規模を誇り、非常に広い波長域において高い感度での観測が可能です。先進的な観測機器を多数搭載しており、次世代のX線天文衛星のさきがけとして、開発段階から世界中の研究者の期待と注目を集めています。

「彼らは硬X線・γ線天文学において新しい観測機器を開発する世界のリーダーです。このチームは国際的な名声を得た、傑出したグループであり、私は彼らに全幅の信頼をおいています」Neil Gehrels : NASA/Goddard宇宙物理学研究所, γ線天文学, Swift衛星責任者

日本は、X線天文学の黎明期からこの分野に取り組み、世界をリードしてきました。日本はこの分野で世界のトップレベルの技術と観測実績を持ち、技術力、科学的な成果、どちらをとっても世界に類を見ないほど強力なコミュニティを持っています。ASTRO-Hは、この国内のコミュニティに加え、NASAをはじめとする世界中の大学・研究機関と協力して研究・開発が進められています。ASTRO-Hは単に人工衛星の名前というだけではなく、この全く新しいX線天文衛星を中心とする世界規模のサイエンスコミュニティの名前なのです。

「NeXTがなければ、宇宙にX線観測衛星がまったく存在しない時期が長く続く恐れがあります。NeXTは世界のX線コミュニティに対し、観測を続けるというだけでなく、観測機器の設計や開発の面においても継続性を保障するという、重大な貢献をすることになるでしょう。ヨーロッパの若い科学者も、知的好奇心をそそる仕事を与えられることで勇気づけられるに違いありません」Martin J. L. Turner :レスター大学教授, X線宇宙物理学, 大英勲章第3位

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