日本天文学会 2015年春季年会 特別セッション

日本天文学会2015年春季年会で、「ASTRO-Hが拓くサイエンス」という特別セッションが開かれました。あいにくの雨でしたが、300人近くの聴衆が集まり大盛況でした。発表資料は以下でみることができます。

 

高橋忠幸 (ISAS/JAXA)      ASTRO-H 計画の概要
山田真也 (首都大)            ブラックホールサイエンス
勝田哲 (ISAS/JAXA)         ASTRO‐Hで目指すサイエンス 〜超新星残骸〜
田村隆幸 (ISAS/JAXA)     ASTRO-H Cluster Physics
吉田道利 (広島大)           Astro-Hへの期待

 

20150318

 

 

以下のように、天文月報でも報告されています。

 

【ASTRO-H特別セッション:ASTRO-Hが拓くサイエンス】

ASTRO-H特別セッションは、年会一日目の2015年3月18日15:15から約2時間、A会場で開催され、300名弱の参加者があった。最初に、プロジェクトマネージャーの高橋忠幸氏(JAXA/ISAS)から、ASTRO-H衛星の目的、概要、進捗状況、国際協力などについて、全般的な報告があった。ASTRO-Hは超精密分光、硬X線撮像、ガンマ線偏光観測、幅広いエネルギー帯域、いずれの点においても画期的な衛星であり、打ち上げは2015年度に予定されていること、その準備は多くのメンバーの協力のもと、幾多の困難を乗り越えて順調に進められていること、他のX線観測衛星や他波長の観測装置との連携が大事であることなどが報告された。

次に「ASTRO-Hの目指すサイエンス」と題して、3人の若手が観測テーマ毎に講演を行った。「ブラックホール」がテーマの山田真也氏(首都大東京)は、活動銀河核の構造解明やブラックホール降着流・噴出流のダイナミクス理解がどのように進展するかについて、「超新星残骸」がテーマの勝田哲氏(JAXA/ISAS)は、Ia型超新星を中心に、ASTRO-H衛星観測がイジェクタの組成の決定を通じて、爆発機構解明にいかに本質的な役割を演じるかについて、「銀河団」がテーマの田村隆幸氏(JAXA/ISAS)は、ASTRO-H衛星が銀河団ガスのバルクな運動や乱流の実体をどこまで明らかにできるかなどについて、それぞれ紹介をした。いずれも、現実的なシミュレーション結果に基づく講演であり、すでにデータが得られたと錯覚するほどの迫力あった。
最後に、X線以外の波長の研究者を代表して吉田道利氏(広島大)が「ASTRO-Hへの期待」というタイトルで講演を行った。自身の銀河からのアウトフローの観測を例に、ASTRO-H衛星による観測がいかに他波長観測に大きなインパクトを与えるかとの期待をこめた講演であった。多くの聴衆に埋め尽くされた会場は終始、熱気に包まれ、ASTRO-H衛星にかける熱い期待が日本の天文コミュニティーに広く浸透していることを十分に感じ取ることができるセッションであった。(嶺重 慎)

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